忌野清志郎追悼の単発ドラマ『トランジスタ・ラジオ』の「完全版」が放映されるということで、正座して観ていた。しかし……以前に放映したバージョンのほうが面白かったよ(´д`)。
「完全版」はオープニングとエンディングなどに清志郎のライブ映像がたっぷり入っていた。これのほうが追悼の意味があると思っているのかもしれないが、前作(オリジナルカット)のほうが、ドラマが主になっていた分だけにそこはかとなく追悼感が出ていたのだ。
付け足しをしたことで不完全版になってしまった……。そういうことも、あるんだよ。
だから今度、ドラマではないが「完全版 明治神宮 不思議の森」というものが放映されることにも一抹の不安があるのだ。
『洞窟おじさん』という単発ドラマは、観終わると「実は数カ月後に『洞窟おじさん 完全版』を連続四回で放映しますよ」という、まるで番宣か、パイロットフィルムの豪華版のような扱いだった。これに関しては、完全版のほうが面白かったことは言うまでもないのだが、冗長であることもまた否めなかった。実話がもとになっているから、完全版ラストでは「現在」へのすり合わせがじっくりと行われるわけだが、そこがちょっと微妙だったな。
連続5回のドラマ『64(ロクヨン)』は、『118分版 64』が放映されたが、これも意図が分かりにくい別バージョンとなった。118分という尺からは、やがて公開される別キャスト・別スタッフによる映画『64』への挑戦とみることもできる。総集編でははなく、連続ドラマ版にはなかった(結構重要な)カットが増えていたりして、なかなか興味深いものだった。連続ドラマ『64』を観てから原作小説『64』を読み、今回『118分版 64』を観てみたのは面白い体験だったが、これしか観たことの無い人の目にはどう映るのだろう。連続ドラマの「毎週やってくる」「続きはまた来週」というライブ感は貴重だ。だがそれはそれはなかなか共有できない。はかないね。